家族X  あらすじ・解説など



失われた家族を人はどう回復していくのか?3.11以降の日本の家族の姿を予知させる、“家庭内行方不明者”を取り戻す旅が、いま始まる――。

3.11以降、家族の有り様が変化するなかにあって、新時代を予知する家族映画が誕生した。統合失調症と若年性痴呆症の母と向き合う息子、その苛酷な在宅介護の日常を描いた『症例X』でPFFアワード2008の審査員特別賞を受賞した29歳の新鋭・吉田光希監督が挑む、“家庭内行方不明者”を探す旅――。昨年『川の底からこんにちは』を送りだしたPFFスカラシップ最新作だ。“主婦”という存在の不確かさと危うさ 映画は“主婦”というぐらついた立場に生きる路子の視点から始まる。朝の勤行のように、今日も洗濯物を干し、夫のワイシャツを用意し、テーブルクロスを入念に整える。そして、黙々と夕食をつくり、誰も食べる者がいない食卓に料理を並べる。完璧なまでに殺菌されたような、塵ひとつ落ちていない、掃除が行き届いたダイニングとリビング。しかし何をしても彼女が安心し満足できる場所を作り出すことはできない…。ごく普通の平凡な主婦に焦点をあて、説明のつかない深い孤独感を募らせ、愛を渇望して、次第に精神に変調をきたしていくひとりの女性を描いた作品でまず思い起こすのは、ジョン・カサヴェテスの『こわれゆく女』がある。このカサヴェテスの名作では、ヒロインを演じたジーナ・ローランスを徹底して追い詰めていくことにより、お互いに愛し合っているにもかかわらず、コミュニケーションがとれない夫婦の危機的な様相をかつてないほどに生々しくリアルに描き出していた。吉田光希監督もカサヴェテスと同様に、一切の説明的な台詞を排し、路子というヒロインの孤独の在りようを、あたかも定点観測するかのように、ドキュメンタルな眼差しで、執拗に凝視し続ける。ヒロインを演じた南果歩は、ひとりでいる場面か圧倒的に多いが、何気ない仕草、表情といった身体からに惨みだす、自然な存在感がひときわ印象的である。さらに夫・健一の、会社にも家庭においても無視され、社会的に抹殺されたような人間の悲哀を演じた田ロトモロヲと、どのコミュニティからも求められず絶望の淵に立つ息子・宏明演じる郭智博の存在が、映画に切実さと緊迫感を与えていく。自らの存在理由も希薄になり、お互いを見失ってしまった者たち。しかしそれぞれが最後に還っていくのも家族という最小単位のコミュニティなのだ。映画は、ラストシーンで、それぞれの薄明の時間を映し出す。そこには、安易で楽観的な救済とはほど遠いが、しかし微かな希望や再出発のきらめくようなイメージがしっかりと刻印されている。

(C)PFFパートナーズ   映画「家族X」 公式サイト
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映画 『 家族X 』 
[2011年日本]

【2011年9月24日公開】(90分)

監督:吉田光希  脚本:吉田光希

【キャスト】
南果歩 ,田口トモロヲ ,郭智博 ,筒井真理子 ,村上淳 ,森下能幸

いつの頃からか我が家の食卓は、
家の中を漂流する船のようでありました。

(あらすじ)

主婦・路子が日々寸分の狂いもなく配膳する食卓は、寸分の狂いもないがゆえに家族の息吹かふきこまれることはない。夫・健一にとっての家は、帰る場所ではなく、終わりのない回廊が張り巡らされた辿り着けない場所だ。大学を卒業しても正社員になれずフリーターをしている息子・宏明は白分かどこにもいないことを知っている。東京郊外の新興住宅地。橋本家もほかと同様、砂上の楼閣のように揺らめき、足場を失っている。姿はあるのに誰もいない椅子、いない部屋、いない家は、最初に路子がバランスを失ったことで傾き、大きな渦に呑み込まれていく…。住宅街、会社、学校、そして家庭というコミュニティのなかで規格外であることが許されない重圧に埋没し、虚空を抱え、もっとも近しい家族を、そして白身すら見失ってしまう路子たち。しかしそれは、もう一度互いを回復していくための痛みを伴う旅の始まりだった。

( チラシより )


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