映画「 ディア・ドクター 」の感想


2009年06月23日 試写鑑賞

人は嘘を隠し通せなくなった時、どんな行動を取るのか?この物語は主人公・伊野の失踪から始まり、この失踪に至るまでの出来事を描きながら、人の愚かさや優しさについて丁寧に描かれていました。あらすじを見る限りミステリー作品かと思ってしまいそうですが、構成はとてもシンプルで物語の流れに対して頭を捻る必要がない分、心理的な部分に集中できる作りになっていると思います。

笑福亭鶴瓶師匠演じる主人公の伊野は決してゴットハンドでなく、偶然に偶然が重なり村人は伊野を神さま扱いするようになっていく過程が滑稽に描かれています。瑛太さん演じる研修医・相馬も次第に伊野に対してカリスマ的な見方になります。伊野自身が他人を騙して悪いことをしようと計画を練ったわけでもなく、もしかしたら医師としての自己満足に酔っていたいだけ、だったのかも知れません。しかし伊野の想いとは裏腹に村人たちは自分自身に暗示をかけるように伊野を神さま扱いする姿には怖さも感じました。

そんな伊野を演じた笑福亭鶴瓶師匠は存在感として見事にハマリ役だったと思います。そして周りを固めている役者の方の存在も良く、余貴美子さん演じる看護師の大竹が医療に対して伊野を支え、伊野に見た目上の奇跡を起させるのと同時に医療問題に対しても考えさせられる存在となっています。そして香川照之さん演じる製薬会社の営業マンの存在を利用して伊野の心理描写をしているのがなかなか良く、そこに刑事役の松重豊さん、岩松了さんを絡めることで、人の心という部分に深く切り込んで行きます。そして八千草薫さん演じるかづ子の存在が伊野に決定的な“嘘”を抱え込ませることになるのですが…。

伊野が失踪する前と失踪後の村人の態度の変わり様は滑稽でもあり愚かでもあり、そして刑事が相馬を問い詰めることで観ている側をスッキリとさせてくれる作りはとても良かったと思います。

全体的に観ている者に考えさせる作りになっていると思いますので、人それぞれで様々な想いが描ける作品だと思いました。

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きのうの神さま

著者/訳者:西川美和

出版社:ポプラ社( 2009-04-16 )

定価:

Amazon価格:¥ 1,512

単行本 ( 211 ページ )

ISBN-10 : 4591109232

ISBN-13 : 9784591109236


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